課題:保険業務は「紙と人手」の塊
保険業界の業務は、まだまだ紙と人手に依存しています。
- 保険金請求の審査:1件あたり平均45分
- 査定担当者の処理件数:1日12〜15件が限界
- 書類の不備率:申請の約30%に何らかの不備
- 不備対応の電話:1件あたり平均3回のやりとり
損害保険会社B社(従業員200名)の査定部門では、査定担当者8名で月間約2,000件の保険金請求を処理 していました。月末は残業が常態化し、処理遅延が顧客クレームに直結していた状況です。
AIで効率化できる3つの業務領域
1. 書類の自動読み取り・分類(OCR + AI)
保険金請求に必要な書類は多岐にわたります。診断書、事故証明書、修理見積書、レシート。
AIによるOCR(光学文字認識)を導入し、これらの書類を自動で読み取り・分類する仕組みを構築しました。
| 項目 | Before | After |
|---|---|---|
| 書類仕分け時間 | 15分/件 | 2分/件 |
| データ入力時間 | 20分/件 | 3分/件 |
| 入力ミス率 | 3.2% | 0.4% |
2. 審査の自動判定(ルールベースAI + 機械学習)
過去5年分の審査データ(約10万件)を学習させ、定型的な請求を自動判定する仕組みを導入しました。
- 全請求の約60%が自動判定対象(明確な支払い基準内のケース)
- 自動判定の精度:98.2%(人間の判定と一致する割合)
- 残り40%は人間の査定担当者が判断(複雑なケース、高額案件)
重要なのは「全部AIに任せない」こと。 高額案件や判断が難しいケースは人間が判断する設計にしています。
3. 不備チェックの自動化
申請書類の不備を提出前にAIがチェックし、申請者にリアルタイムでフィードバックする仕組みです。
- 不備率:30% → 8%に改善
- 不備対応の電話回数:月間約600回 → 160回
- 申請から支払いまでの平均日数:14日 → 7日
導入の成果
B社での導入6ヶ月後の数字です。
| 指標 | Before | After | 改善率 |
|---|---|---|---|
| 1件あたり処理時間 | 45分 | 18分 | 60%短縮 |
| 月間処理件数 | 2,000件 | 3,200件 | 60%増 |
| 査定担当者の残業時間 | 月35時間 | 月12時間 | 66%削減 |
| 顧客クレーム件数 | 月15件 | 月4件 | 73%削減 |
査定担当者を増やすことなく、処理能力を1.6倍にできました。
導入時の注意点
- 既存システムとの連携:基幹システムが古い場合、API連携ができずRPAで橋渡しが必要になることがある。B社もRPA併用で対応。
- 規制対応:保険業法上、最終的な支払い判断は人間が行う必要がある。AIはあくまで「判断支援」の位置づけ。
- 段階的導入:一度に全業務をAI化せず、まず書類OCRから始め、3ヶ月ごとに対象を拡大した。
CAiOがお手伝いできること
保険業務のAI化は、業務フローの整理と既存システムとの連携設計が肝です。
CAiOでは、現在の業務フローを一緒に棚卸しして「どこからAI化すると最もインパクトが大きいか」を数字で判断するところからサポートしています。